小池百合子、ついに「永田町への帰還」を決めたか…「政界の女帝」が自民党重鎮たちに見せている「不気味な沈黙」
政局が動くとき、女帝は必ず姿を現す。東京都知事をつつがなく務めただけで、彼女の野心が鎮まるはずもない。追い込まれた自民党にとって、その力は救いとなるのか、それとも劇薬となるのか。
連絡が途切れた理由
平安の人々は、春の夜にどこからともなく現れるという、得体のしれない獣を恐れた。頭は猿、体は狸、手足は虎、そして尾は大蛇――。「鵺(ぬえ)」と呼ばれるその獣は、変事の前触れとされ、都じゅうを震え上がらせた。 いま、令和の都・東京にも鵺がいると言われる。まもなく都知事2期目を全うしようとしている、小池百合子をそう呼ぶ者が、政界では増えているのである。 「小池さんと連絡がつかなくなった」 3月中旬、自民党前政調会長で東京都連会長の萩生田光一は焦っていた。 安倍晋三の死後に露見した旧統一教会との浅からぬ関わり、そして所属していた安倍派の裏金問題で、深手を負った萩生田。1月に行われた地元の八王子市長選では、自民党候補の惨敗を覚悟し、姿を極力隠した。 そこへ突如、手を差し伸べたのが小池だった。 萩生田氏に対してさえ…
「一票でも足りないと市長にはなれません。初宿(しやけ)さんをお願いします」 1月19日の八王子駅頭、緑のスカーフを身に着けた小池は自公推薦候補の初宿和夫と並び、声を張り上げた。さらには肉声を吹き込んだ自動音声の「電話作戦」まで行い、ひと肌もふた肌も脱いだ。八王子の空気は一変し、初宿は2位に6600票の差をつけて勝利した。 「これで萩生田さんは小池さんに頭が上がらなくなった。市長選直後には小池さんに食事を振る舞いながら『自民党に戻るなら、後押しする準備はできています』と確約したのです。 それからというもの、萩生田さんは党内で『(裏金問題で)俺を切るのは構わんが、小池とのパイプがなくなるぞ』と、小池さんとの関係を誇るようになりました」(自民党中堅議員) ところが、自分をもみ手で遇する萩生田に対してさえ、小池は前触れもなく連絡を断ったのだ。
不気味な沈黙
何人たりとも予測不可能。それこそが、小池が政界の「鵺」と呼ばれる所以である。 加えて、今回小池が見せている沈黙は、これまでとは質が異なるとみる者が多い。 「萩生田さんだけでなく、4月の補選でのすり合わせのために連絡をとろうとしている小渕(優子)選対委員長も、小池さんに会えていない。明らかに様子がおかしいのです。 小池さんは昔から、ここぞという局面では他人との接触を一切絶ち、ひとりで熟考する人。4年前の都知事選でも直前まで態度を示さず、出馬表明したのは告示のわずか6日前でした。今回もギリギリまで沈黙し、状況を見極めるのでしょう」(自民党東京都連関係者) 小池の不気味な沈黙は、永田町への「帰還」の前兆に違いない――。そう考える永田町関係者が増えているのは、いままさに、小池は千載一遇のチャンスを迎えているからだ。 その詳細を後編【女帝・小池百合子と二階俊博が急接近「アンタを担ぐよ」…小泉進次郎・河野太郎も巻き込み「岸田・麻生・茂木」に宣戦布告へ】でお伝えする。(文中一部敬称略) |